小文間小学校跡地の利活用に関する市民説明会前日その3
- wakuran
- 10月24日
- 読了時間: 2分
25/10/19
小文間小学校の今後にむけて
川島智生
学校建築史の研究者として危惧することは、明治から戦前期にかけての校舎が保存されるに対して、戦後1970年頃までに建設された校舎が次々と取り壊されていっている点です。戦後つくられていった吉武氏や長倉氏らの実験的な校舎の多くはもはやなく、そのなかで現存する小文間小学校はその時代の息吹を後世に伝えるに、もっともふさわしい建築といえます。しかもこの小文間地区は近世期の農村景観が残る歴史的な地域です。どこにでもありそうな場所ですが、そこに61年前にできた、けっして古くならない現代建築の校舎が存在することはとても意味があります。すなわち、高度経済成長期の日本のありようが残っているからです。古い集落のなかに画期的な校舎が立ち続けている。かってはほかにもこの構図はあったとおもいますが、現在ではきわめて希有なものです。
提案としては建物をそのまま用いて小博物館や小美術館などの文化施設がふさわしいと思います。
川島智生 建築史家、学術博士
1957年生まれ、京都工芸繊維大学博士課程修了。専門は日本近代建築史、小学校建築史で博士号を取得。「近世京都の小学校建築」ミネルヴァ書房、「近代大阪の小学校建築史」大阪大学出版会、「『大阪の学校』草創期を読む」(共著)ブレーンセンター、「民藝運動と建築」(共著)淡交社、、「奈良の建築家・岩崎平太郎の仕事」ー武田五一・亀岡末吉とともに」淡交社。「近代日本のビール醸造紙史と産業遺産」淡交社。「関西モダニズム建築」(共著)。近著に「近代神戸の小学校建築史」関西学院大学出版会(2019年2月刊行)「近代日本の小学校建築史 - 鉄筋コンクリート造校舎の成立と展開 」中央公論美術出版(2024年)がある。現在神戸情報大学院大学客員教授。



























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